2025/04/01 11:34

頚性めまいとは?

頚性めまい(けいせいめまい)は、頚椎(首の骨)の機能異常や筋緊張が原因で生じるめまいのことを指します。頚椎には多くの固有受容器が存在し、これらは姿勢やバランスを制御する役割を担っています。しかし、頚椎の可動域が制限されたり、筋緊張が過度に高まったりすると、神経や血流の異常が発生し、めまいの症状が引き起こされることがあります。症状としては、浮動感、不安定感、頚部痛、肩こり、頭重感などが挙げられます。

鍼灸およびマッサージ療法の有効性

近年の研究により、鍼灸やマッサージ(指圧)が頚性めまいに対して有効である可能性が示唆されています。それぞれの治療法がどのように作用するのかを以下に説明します。

鍼灸療法の作用機序

鍼灸は、経穴(ツボ)を刺激することで自律神経の調整、血流改善、筋緊張の緩和、炎症の抑制を促し、頚性めまいの症状を軽減することが期待されます。1. 自律神経の調整鍼刺激は副交感神経の活性を高め、交感神経の過剰な興奮を抑えることで、自律神経のバランスを整えると考えられています。これにより、頚性めまいの緩和が期待できます。

2. 血流の促進

筋緊張の緩和により、頚部周囲の血流が促進され、脳への酸素供給が向上します。これにより、脳の循環不全によるめまいが軽減される可能性があります。

3. 炎症の抑制

鍼刺激は抗炎症作用を持つサイトカインの分泌を促し、頚椎周辺の神経圧迫を軽減することで、めまいの発生を抑えると考えられています。

マッサージ(指圧)療法の作用機序

頚性めまいの主要な要因の一つである筋緊張を直接的に緩和する手法として、マッサージ(指圧)が有効であるとされています。

1. 筋緊張の軽減

指圧やマッサージにより、頚部および肩部の筋硬結(トリガーポイント)が解消され、頚椎の可動域が向上し、バランス機能が整う可能性があります。

2. 副交感神経の活性化

マッサージ刺激は副交感神経の活動を促進し、リラクゼーション効果をもたらします。これにより、ストレスが軽減され、めまいの発生頻度が低下する可能性があります。

適切な治療法の選択

頚性めまいの施術は、症状の原因や個人の体質によって適した方法が異なります。一般的な適応の目安としては、以下のように分類できます。

  • 鍼灸療法:自律神経の調整や血流改善を重視する場合に推奨。

  • マッサージ・指圧療法:筋緊張の緩和やリラクゼーションを目的とする場合に適応。


当院では、患者様の症状や生活習慣を考慮し、最適な施術プランを提供しております。めまいにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


参考文献

  • Zhang, Y. ほか (2020). 「鍼治療が頚性めまいに及ぼす影響:無作為化対照試験」『伝統中国医学雑誌』40(2), 123-130.

  • Wang, L. ほか (2018). 「頚性めまい治療における鍼治療とリハビリテーションの併用効果:無作為化対照研究」『臨床リハビリテーション』32(5), 451-460.

  • Ito, H. ほか (2019). 「頚性めまい患者に対するマッサージ療法の有効性」『徒手療法ジャーナル』24(3), 210-217.

  • Tanaka, K. ほか (2021). 「頚性めまい患者における指圧療法が自律神経機能とバランス向上に与える影響」『補完代替医療』58, 102678.