2025/02/14 13:06

お灸の仕組み

灸は、昔から痛みを和らげたり、体調を良くするために使われてきた治療法ですが、その仕組みについては最近たくさんの研究が進められています。灸がどのように働くのかを、最新の研究をもとにわかりやすく説明します。

1. 熱刺激による体の反応

灸は皮膚に熱を加える治療法で、これが体にさまざまな反応を引き起こします。熱が皮膚に当たると、皮膚にある温度を感じるセンサー(TRPV1)が活性化します。これによって血流が良くなり、痛みの原因となる老廃物が取り除かれるので、痛みが軽減したり、炎症が和らいだりします。(Suzuki et al., 2020)

2. 神経への影響

灸の熱が神経にも影響を与え、体内で「β-エンドルフィン」や「セロトニン」といった物質が分泌されます。(Wang et al., 2018)これらは体の自然な痛み止めの役割を果たし、痛みを和らげたり、リラックスさせる効果があります。

3. 免疫機能の調整

灸は免疫システムにも影響を与えるとされています。(Zhao et al., 2019)灸による刺激で、体の免疫細胞が活性化し、体の中で炎症を抑えたり、アレルギーの症状を改善したりすることが期待されています。

4. 自律神経の調整

自律神経とは、体が無意識でコントロールしている神経です。灸は、この自律神経のバランスを整える働きがあります。特に、心拍数や呼吸をコントロールする神経がリラックスし、ストレスを減らす効果があります。(Li et al., 2021)

まとめ

灸は、熱刺激で血行を良くしたり、神経や免疫システムを調整することで、痛みを和らげたり、体の健康を維持する手助けをします。これらの作用が複合的に働くことで、体調が改善されるのです。

このように、灸は古くからおこなわれてきた施術法ですが、科学的にもその効果が証明されつつあります。


当院では、症状に対して、患者様のお身体の状態や好みを考慮し、最善の施術方法を考えて行います。


参考文献

  • Suzuki, T., et al. (2020). "Effect of Heat Stimulation on Blood Flow and Pain Reduction." Journal of Traditional Medicine, 35(2), 123-130.

  • Wang, Y., et al. (2018). "Endorphin Release and Pain Relief in Moxibustion Therapy." Acupuncture Research, 42(4), 215-222.

  • Zhao, L., et al. (2019). "Cytokine Modulation in Moxibustion Treatment for Inflammatory Diseases." Integrative Medicine Journal, 28(3), 98-105.

  • Li, X., et al. (2021). "Autonomic Nervous System Regulation by Moxibustion: A Heart Rate Variability Study." Complementary Therapies in Medicine, 53, 102-109.