2024/03/09 16:48

筋肉が緊張するメカニズムは、我々の身体の動きや姿勢を制御する上で重要です。

その理由は、神経系が複雑に関与しているからです。
今回は、筋肉の緊張がどのようにして生じるのか、その背後にある神経の仕組みを解説します。

筋肉の緊張は、主にガンマー(γ)系と交感神経系の神経支配によって制御されています。 この制御には、伸張反射が重要な役割を果たします。
伸張反射は、筋肉が伸びたときに生じる反射動作で、筋紡錘という特殊な神経受容器が関与しています。
この反射を調節するのは、アルファ(α)とγの運動ニューロンです。 γ運動ニューロンの活動が増すと、筋紡錘の感受性が高まり、伸張反射が亢進し、筋の張力が増します。これを 「γバイアス」 と呼びます。

また、交感神経系も筋肉の緊張に影響を与えます。
交感神経は、骨格筋を直接支配し、血管や筋線維に分枝を出します。 そのため、交感神経の興奮や抑制は、筋の緊張にも影響を及ぼします。
実験では、交感神経の刺激が興奮を引き起こし、筋の緊張が増加することが観察されました。 そして、この緊張はαブロッカーと呼ばれる薬で抑制されることが報告されています。
さらに交感神経線維は筋紡錘も支配しており、その活動が増すと伸張反射と筋の緊張が増加します。 このように、筋肉の緊張は神経系の複雑な相互作用によって調節されています。

緊張が生じるメカニズムは、これらの要因が複雑に絡み合っています。 身体の動きや姿勢の制御に不可欠な筋肉の緊張は、神経系のバランスの変化や外部刺激によって調節されることがわかりますね。

【参考文献】                                                    鍼灸は効くのか、なぜ効くのかの 10 講:川喜田健司,(社)全日本鍼灸学会,2011年6月他